メインが縦糸でクロスが横糸
ガットの太さ
テンションと打球感
ラケットタイプとガットの関係
腕への負担とストリングの関係
自分にとっての適切なテンションは?
自分に合ったストリングを探そう
目的・上達に合わせての見直し
ラケットの当て皮

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テニスストリング(ガット)について

ガットとは、ラケットに張っている網の目の糸を指して呼ばれています。

純粋に「 gut 」ガットは、羊などの腸線および細い紐の事を言い表すが、

「 ストリングス 」とも呼ばれています。

細かくは、ナチュラルと呼ばれる羊の腸線(現在は牛の腸)がガット、

化学繊維をストリングと分ける人もいます。

 

gut (複数 guts)

1.消化器官、胃腸、内臓、はらわた。

2.牛や羊の腸を加工した繊維。

@ (テニスのラケットに用いる)ガット。

A (クラシック・ギターなどの)弦。

B 外科用に用いる縫糸、魚釣りの糸(てぐす)

3.(複数形・単複両扱い)度胸、根性、気概、ガッツ、問題等の本質。

 

  メインが縦糸でクロスが横糸

一般的に

  ・ メイン(縦)は、反発力(飛び)やスピン、耐久性に影響する。

  ・ クロス(横)は、コントロールと打球感(衝撃吸収)に影響する。

  と言われています。

   プロは、1セット位いでラケットチェンジしてしまいますので、耐久性の

話は置いておきますが、アマチュアは耐久性も重要な要素の一つです。

メインにポリエステルを使用すると耐久性は良くなります。

縦糸は、メインというくらいなので、プレーに与える影響の7割くらいを

担うと言われていますので、メインにするストリングは、とても重要です。

 

フェデラー選手を見ると、85平方インチから90に変更した際にガットの

張り方もハイブリッドに変更しています。ナチュラルの反発力が強過ぎ、

ラケットのパワーと相まってオーバーパワーになり、回り込んでフォアの

アングルショットが、サイドアウトしてしまうシーンをよく見ました。

 

ナチュラルガットの性能を7割残し、クロスにアルパワーラフを張る事で、

スピン量が増え、アングルショットのサイドアウトも減りコントロール性が

アップしその後は、ストリングの変更はせず、現在のプロスタッフRF97

変更した際にテンションを49/45から58/54と約10ポンド上げて調整し

ています。(試合によってポンド数は変えています)

 

錦織圭選手のストリングの変更は、

エンデューロ → 4G/ナチュラル → ナチュラル/4G

ナチュラル/4Gソフト → ナチュラル/エレメントとなっています。

錦織選手の場合、テンションは約58ポンドから10ポンドくらい下がって

きています。

メインにポリエステルでハイテンションの頃は、腕の負担か大きく、

5セットマッチの後半に疲労が現れ、怪我にも悩まされていました。

徐々に体に優しいセッティングにしているのがよくわかります。

その後、ガットを4Gソフトからエレメント125に変更しました。

ルキシロンの中でも一番柔らかいポリといわれソフトフィーリングです。

ポリを使いたいけど硬いのは・・・、という方は是非お試しください!

ポリには、5角形や8角形と言った多角形型や色々な素材を使って回転を

かけ易く、摩擦力を上げてボールのホールド感を上げています。

太さ1.18〜1.20を使うと、若干ですが、硬く感じないかもしれません。

  

  ガットの太さ

   ● 細いガット

反発力が高くサーブ&ボレー向きで反発力が増し、

ボールの伸びが良くなります。

     また、喰いつきもよくスピンがかけやすいのも特長。

   ● 太いガット

安定感が高くグランドストローク向きで反発力は、弱まりますが

切れにくいため耐久性はアップします。

ボールのホールド感と打球感が安定します。

   テンションと打球感

   ■ 高テンション

スイングスピードの速いプレイヤーにお薦めボールを押し出す力を

抑制し、飛びすぎを防ぎます。

スイングスピードが速いプレイヤーは、スイングスピードの速さに

対してガットの戻りが追い付かないため、高テンションの方が、プレーが

安定します。
  
  ■ 低テンション

ボールを飛ばしたいプレイヤーにお薦めガットをたわませることで、

ボールを飛ばす事が可能。

また、ボールを包み込むのでホールド感があります。

ボールとガットの接触時間が長く、回転がかかり易い。

   ラケットタイプとガットの関係

   ■ 軽量タイプ・厚ラケ(ワイドボディ)のラケット

このタイプのラケットに硬めのガットを選ぶと、衝撃が非常に強いため、

手首や肘を痛める事があります。

柔らかいホールド感のあるガットや振動吸収性のあるガットをお薦めします。

 

面の大きなラケットは、スイートスポットが大きくボールが良く飛ぶため、

テンションを上げて飛びを抑えたり、逆に面の小さなラケットはボールの

飛びが悪くなるため、テンションを下げたり、細めのゲージを選ぶなどの

工夫が必要です。

  腕への負担とストリングの関係

   ● ストリングが動くか?

      断面が丸いストリングは、打球時に糸が動くスナップバックが発生し、

衝撃が分散されるため腕にかかる負担も緩和されます。

これに対し多角形ストリングは、角が有るため縦と横で糸が動きにくく

打球時の衝撃は、多角形の方が強くなると言われています。

 

多角形を使用して衝撃が気になる方は、柔らかい多角形を試して下さい。

丸いストリングでも張替え時期が過ぎて伸び切ると、ボールが飛びにくく

なりスナッピング効果が無くなるため、腕への負担が増します。

 

ポリは、ナイロンやナチュラルに比べるとテンション維持率が低いため、

張替え時期を延ばしていると腕の故障原因になります。

 

腕への負担を抑えたい方は、張替え時期を守った方が無難だと思います。

 

● 硬いストリングは腕に負担がある

ラケットを軽くした場合、硬いストリングのままでは、腕への負担が増します。

ラケットを軽くすると操作性は向上しますが、威力のある球に対して打ち

負けやすく、硬いストリングだと衝撃を全て腕で受け止める事になります。

それを避けるには、衝撃が伝わりにくいナイロンマルチを試してみましょう。

ポリを使っている方は、ナイロンモノに変えるのも良いでしょう。

 

● フェイスの大きいサイズのラケットに変更すると

     思っている以上にボールが飛ぶ事もあります。

飛びを抑えるために強く張ると腕への負担が増します。

テンションは、以前のサイズと同じか、それ以下が良いでしょう。

ラケット重量やフェイスの大きさを変えると、感覚は大きく違ってきます。

ストリングの種類やテンションを調整して自分に合ったストリングを

探しましょう。

 

  自分にとっての適切なテンションは?

      以前、私はプロの大会会場で出場選手のガットを張っていたゴーセンの

ストリンガーさんに「アウトが多いのでテンションを上げた方が良いか?」と

質問した事が有ります。

学生時代、剣道をしていたので、腕力には自信がありラケットフェイスが、

85インチ以下のラケットに60〜70ポンドで張っていました。

ストリンガーさんからの回答は、

「回転をかけるように打ち方を変えるべきです」と言われました。

補足で、ラケットやガットには、適性テンションがあるので、その特性が

発揮できない事は意味が無く、いずれ腕にも負担が来る。

 

打ち方を変える⇒プレースタイルを変えなくては・・・、と変な意味に

とらえてしまい。テンションもラケットの上限の60ポンドまでにしガットも

その張りで性能が出せる物を選び、プレーを続けました。

以前よりガットが長持ちする様にはなりましたが、しばらくしたらラケットの

陥没や1年程度で打球感に違いを感じラケットを頻繁に買い替える事に・・・

実力が無いのに道具のせいにする典型的なプレイヤーですね。

 

ストリンガーさんに教えて頂いて25年もしてからガットをバボラのアディ

クションに変えテンションを55ポンドとし、常に自分のスイングを意識する

事で少しはまとも?なテニスが出来る様になった気がします。年を取って

硬いテンションでガンガン戦えなくなったのが大きな理由ですが・・・

それでもまだ、チャンスや決め球を打つ時に「入れなくては、決めなくては」

といった気持ちの迷いで自分のスイングが出来ない事が多々あります。

 

最近では、錦織選手の情報から柔らかいポリにも挑戦!

メインをアディクション、クロスをエレメントにしてテンションも錦織選手の

様に低く設定42/39〜高くても52ポンドでプレーしています。

回転がかかりベースライン付近で落ち良い跳ねをしてる気がします。

    (勝手な思い込みをしながら楽しくテニスをしています)

今になって、ストリンガーさんにもう少し詳しく質問し理解していたら・・・

と後悔しています。  

 

以前の統計資料に

1.「飛びすぎてアウトが多い」とコメントするプレイヤーの多くは、ガットの

張りが硬過ぎる。

2.ゆるく張っているプレイヤーの打球はアウトが少なく、逆に、飛びが悪く

打球が失速して入っていることが多い。

 

こうした事から「硬いとボールが飛ばない」、「柔らかいとが飛ぶ」という

事が必ずしも正しくないと思われます。

ラケットを何かに固定して5m位の高さからスイートポイントにボールを落とすと、

硬く張られたガットより、柔らかく張られた方がガットの方にたわみが大きく良く

飛ぶはずですが、手に持って打つ時は、スイングスピードやボールの捉え方が

影響し感覚がや飛びが違ってくる事を現した結果と思われます。

 

  自分に合ったストリングを探そう

ショットに影響を与える「テンションの強さ」と「ストリングの種類」について

考えてみましょう。

基本的に言われていることですが、テンションが高いと、打球感が硬く、

ボールが飛びにくくなり、低いと、打球感が柔らかくボールが飛びやすいと

言われていますが、ラケットフレームの素材や形、大きさも関わってきます。

今、自分が使い慣れているラケットで調整してみましょう。

 

  テンションの強さの確認

リラックスした状態で、ラリー練習をして10〜30cm程度バックアウトする

場合は、3ポンド程度高くし、サービスライン付近(1m以内)に落ちる様なら

3ポンド程度低くしてみるとテンションの違いが分かると思います。

ベースラインの30cm〜1.5m辺りに落ちていれば、ほぼ適正だと

思われます。球出し練習よりラリー練習で確かめてください。

 

  ストリングの種類について

ナチュラル、ナイロン、ポリの3種類が主流です。

更にナイロンには、モノとマルチと言った糸の構成形状、ポリには、丸型と

多角形があり、それぞれ太さも2〜3種類用意されている物もあります。

回転系、コントロール性、打球感重視、プレースタイルを考え自分に合った

ストリングとテンションを見つけましょう。

 

非力な方で有れば、ナイロンストリングをお薦めします。ナイロンには、

モノとマルチの2種類があり、モノの方が打球感も良く、ボールが飛ぶと

言われています。

力の有る方は、ポリでガンガン打たれても良いでしょう。

ただし、腕や肩に故障を抱えている方には、細い物、柔らかめ素材の物を

お薦めします。

ポリは、硬く切れにくいと言うイメージですが、多角形の物、抵抗の大きい

物、細い物、柔らかめの物、衝撃によって硬さが変わるもの・・・、とたくさんの

種類が出ていますので、コーチやストリンガーに相談してから試しましょう。

縦と横の種類や太さを変えるハイブリッドと言う張り方でプレーしている

プロもたくさんいます。ここまで来ると種類としての数は限りなく多くなります

ので、自己満足でテニスを楽しんでください。何事も楽しむのが一番です。

ストリンガー泣かせも有りますので、ご注意を・・・

 

ストリングは、張り上げた時から、それ自体の伸びやゆるみが発生します。

週1回の練習だけの方でも6ヶ月に1回、大会に参加されている方は、2〜3ヶ

月に1回の割合で張替えをお薦めします。

試合に参加される方は、出来たら同じラケット(重さやバランスも)を2本

以上同じ条件で準備して練習された方が良いと思います。

2本あるとストリングやテンションの違いを色々試し、早く自分に合った物を

見つける事が出来ますし、試合でストリングが切れた時も安心です。

1本しか持たれていない方は、試合の1週間前には、ストリングを張り替えて、

一度練習で確かめてから試合に挑みましょう。

 

目的や自分の上達に合わせて、
ストリングやテンションを見直そう。

テニスを始めた頃よりプレースタイルが変わった、出来る事も増えた、力が

付いた又は、年を重ねることで、パワー不足を感じるようになった。対戦する

相手のレベルが変わった・・・

色々な理由から自分の使う道具に対しても、こだわりが生まれます。

ラケットを変える前に、使い慣れたグリップ、重さ、バランス等を考えて

ストリングの種類やテンションを変える方法もあります。

 

★ ストロークで深いボールを返したい

       : ナイロンのマルチ、ナチュラルの様な打球感がよく反発力が良い物を使う。

 

★ 伸びのあるボレーを打ちたい

       : ストリングゲージを細い物にする。

 

★ スピンをかけたい

       : ポリ系の細い多角形の物にする。

 

● コントロール、スピード、回転、何が欲しいかによってセッティングを

変える事で上達に繋がるので、色々試してみてください。

 

ダブルスやシングルスでは、ストローク中心、ボレー中心といった風に

戦術やショットが違うので、自分のプレースタイルを加味してセッティングに

変えてみましょう。

一般的にシングルスでは、ダブルスよりも硬めで太い物と言われています。

当然、プロは、コート、会場の気圧・天候、対戦相手によってテンションを

変えて戦っている様です。

  

ラケットの当て皮について

ストリングを張る際に特定の箇所に使用して、フレームやストリングを

保護するアイテムです。

高いテンションで張る場合は、スロート外側の1番グリップ側に挟み

フレームの陥没予防とし、縦糸センタ付近の保護と打球感を柔らかく

したい時には、スロート内の3ヶ所に挟みます。

      最近のフレームは強度も上がり、スロート内の3ヶ所もストリングの

摩擦が少なくなる形状で作られ、基本的には必要とされません。

デメリットとして、打球感の変化、ストリング本来の性能に影響を与える。

雨天時に水を含み更に影響が大きくなる。と言う方もおられます。