非注意性盲目(ひちゅういせいもうもく)

   視野の中に入っているものの、注意が向けられていないために物事を
   見落としてしまう事象のこと。
   何かひとつのことに集中していたり、特定のものに注意を向ける度合いが
   高すぎるときに起こります。

  「非注意性盲目」は、脳の処理の問題であり、視覚の問題ではありません。

   人間の脳は、一度に入ってくる視覚情報をすべて処理する事が出来ないので、
   均等に注意を向けれず、視覚情報を取捨選択し、必要だと思った情報に
   注目するのです。

  「非注意性盲目」の具体例

   「見えないゴリラ実験」と呼ばれる実験が非常に有名です。

   被験者には、白いシャツを着た人と黒いシャツを着た人がバスケットボールを
   パスする短いビデオ映像を見せそのときに「白いシャツを着た人のパスの
   回数を数える」ことを指示します。

   この映像の中では、

    パスが続けられている中、画面右側から黒いゴリラが登場します。

    そして画面中央に移動し、胸を叩き左側に去っていきます。

    しかし、被験者のうちの42%はゴリラの存在にも気付きませんでした。

   また、白いシャツを着た人ではなく、黒いシャツを着た人のパスの回数を
   数えるように指示すると。

   その場合は、ゴリラの存在に気づいた人は83%まで急増しました。

   「黒いシャツを着た人」に注目するため「黒いゴリラ」という同じ黒いものに
   気づきやすくなるのです。

   ひとつの物事に注意が必要であればあるほど、視界に入っている
   他のものに注意を払えなくなる」という指摘をしています。

   また、「非注意性盲目」は、視覚以外の要因でも引き起こされます。

   車の運転中にハンズフリーの携帯電話で会話をしていても「非注意性盲目」が
   起こる結果がでました。
   車の運転をしている場合と、通話をしながら運転した場合それぞれで、
   走行中に特定の看板を見たかどうかを質問します。

  「広告を見た」という割合は、「運転のみの場合」で65%、
  「ハンズフリー通話をしながらの運転の場合」では24%でした。