呼吸を意識する


    試合中に 「はあ、はあ」 と呼吸が苦しくなる事がありますが、

   これは運動強度に合わせて多くの酸素を必要とするからです。

   この状態で無理を続けると「だめだ・・・」と思い呼吸を乱し、

   戦意喪失に繋がります。

   マラソンで言えばオールアウトの状態です。

   この時に少し余裕を残しておけば、コンスタントに息を整えた

   状態でプレーできます。

   息が苦しくなるのは、足や腕などの活動筋を動かす事で、

   より多くの酸素が使われて、血中に増えた二酸化炭素の濃度を

   脳が感じるからです。

   口から吸った酸素が、肺から血液、そして活動筋へと伝わって

   行きますが、実際に酸素が足りなくなると、エネルギー代謝や

   活動筋、呼吸筋などへ分配される割合も変わってしまい苦しくなる様です。

   そこで呼吸を意識することで、肺からより多くの酸素を効率よく血中に

   取り込む事が出来れば、楽にプレー出来る時間が延びるはずです。

    では、実際にどうすれば良いのでしょう。

   まず、ポイント間に呼吸を意識的に変えてみましょう。

   口すぼめ呼吸(慢性閉塞性肺疾患の方が指導を受けている呼吸法)

   息を吐く時にロウソクの火を消す様に口をすぼめて行う呼吸、

   吸う時間の1に対し吐く時間は、2〜5とゆっくり長くする。

   少し呼吸がきつくなった時に有効です。

   マラソンなどで 「2回吐いて1回吸う」 と聞いた事が有りませんか、

   呼吸のタイミングや方法には、好みが有りますが、2回に分けて息を

   吐き切る事で多くの酸素を取り込むテクニックです。

   呼気の中にはガス交換に関与しない空間が約200mlあるため

   2回吐きだし、この死腔量を減らすのです。

   肺には筋肉が無く胸郭や横隔膜などの呼吸筋を動かす事で、肺に空気を

   出し入れしています。この呼吸筋を鍛える事で、呼吸を楽に感じたり、

   効率よく行う事が出来るようになります。

   安静時の呼吸では、主に横隔膜の収縮(吸気)と弛緩(呼気)が使われ、

   更に外肋間筋の働きで胸郭を広げ胸腔の内圧を変化させて呼吸しています。

   主として横隔膜が使われる呼吸を腹式呼吸と呼び、運動する時に換気量を

   増やすため強制呼吸を行う胸式呼吸が有ります。

   テニスでは、ボールを打つ際に声を出し息を確りと吐きだす事で、その分

   新しい空気を肺に取り込む事が出来るようになります。声を出すと、声帯を

   狭める為に気道内圧を高めるメリットも有ります。

   意識的に吐く事で、換気量を増やしましょう。

   ただし、運動負荷に伴う酸素需要のアップにより、浅い呼吸の回数が

   増えると換気効率が低下し、呼吸筋が疲労する事を知っていてください。

   肩で息をする状態も呼吸数が増え、換気率が悪くなり、盗血現象(脳に

   行くはずの血液が筋肉に盗られる現象)などが起きやすくなります。

   そのため普段からある程度の負荷を与えて呼吸筋を鍛えておく事が必要です。

   安静時には腹式呼吸がメインで運動強度が高くなると腹式呼吸の割合も増加、

   更に運動強度が高くなると普通の人は、腹式呼吸を忘れがちになり胸式呼吸

   だけをしてしまいます。

   普段の練習で腹式呼吸と胸式呼吸両方の呼吸バランスが上手く使える様に

   意識しましょう。

 

   姿勢で肺活量に差が生じるので、ポイント間では、猫背にならず胸を少し反らす

   くらいのイメージでリラックスし胸郭内の容量を大きくする事を意識しましょう。

   実際の呼吸と肺活量は関係ないかも知れませんが、肺活量を最大限増やす

   事は有利だと考えます。

 

    ピート・サンプラスが世界bPの時に試合中のポイント間とかサーブ前に、

   舌を出していて、周りから王者として相応しくない姿だと、批判を受けて

   ベロを出さなくなりました。

   舌を出すと、首の筋肉が緩むため、その分腕が伸びるんだそうです。

   舌を出す事で、身体を緩めて次のポイントに備えてたんですね。

   呼吸に関しても下を向くと気道が狭くなり換気が上手く行きません。

   ベロを大きく出せる首の位置が気道が確保されているのです。