★ 集中する
    「試合の時だけ集中すればいい」と考えている人がいますが、
   全く誤った考えです。
   優れた選手ほど集中して練習しています。
   なぜなら「練習で出来ない事は、試合で出来ない」事を知っているからです。
   集中力は、技術と同じく練習を通して向上させるべきスキルである事を
   知っているのです。
   ● 集中力とは
 
 
     内的集中と外的集中に分かれます。
     ・  
内的集中では、集中の対象が自分自身の心の内側に向けられ
 
 
      「ミスしたらどうしよう」「負けたらどうしよう」といった思考は
      内的集中であると言えます。
     ・  
外的集中は、1点集中と分散集中に分かれます。
 
 
      テニスや野球で動くボールを見るといった集中の仕方は、1点集中に
      該当し、選手のポジションや周囲の状況を把握する際に求められる
      集中の仕方は、分散集中に該当します。
    試合中は、これらの集中のしかたを適切かつ迅速に切り換える能力が
    求められます。
    競技における集中力は「適切な手がかりに注意を向ける能力、及びその
    注意を状況に応じて切り換えながら持続させる能力」と定義されます。
   ● 集中力を乱す要因
      @ 観衆や周囲の出来事
 
 
       ・ 観衆の存在がプレッシャー
 
 
       ・ マナーの悪い観客が気になる
 
 
       ・ 隣の試合が気になる
 
 
       ・  
良い所を見せようと無理にビッグプレーをしてリズムを崩す
 
 
      A 過去の出来事に対するこだわり
 
 
      B 未来の出来事に注意を向けてしまう問題
 
 
       ・  
まだ起こってもいない未来の出来事に注意を奪われる。
 
 
        本来注意を向けるべき事に焦点が合ってない。
      C 考えすぎ・分析しすぎによる問題
 
 
       ・  
特定の動作や技術にこだわりすぎるとプレーは崩れるのです。
 
 
        調子がいい時のプレーというのは自動化されているため試合中に
        分析しすぎると、自然な動きが制限されプレーのキレが失われて
        しまうのです。
      D ミスジャッジや対戦相手の言動
 
 
       ・ 立腹して集中が乱れる
 
 
      E コート状況などの環境要因
 
 
       ・ 暗い、蒸し暑い、寒すぎる等
 
 
 
 
   ● 集中力を維持するために
 
 
 
     1.視線のコントロール
       視線のコントロールは、試合中の精神の安定や集中力の維持に
       役立つ事がわかっています。
       気持ちをリセットしたい時、苦しい試合展開の時、疲労が蓄積した
       時などに、視線を遠くの標的から近くの標的に移動させる事で、
       気持ちをリセットし、再び集中力を高める効果が期待できます。
        例えば、得点ボードなど「試合中に無くならない遠くにある物」に
       視線を向ける事で行き詰まった心を開放します。
       遠くの標的を確認できたら、視線をリストバンド等の「必ず近くに
       有る物」に戻すことで、自分の内面に意識を向け直します。
       つまり、遠くを見る(外的集中)➡近くを見る(内的集中)という
       一連の流れで集中力をリセットし次のプレーに集中する。
 
     2.「今ここ」に集中する。
       試合中は目の前のプレーに全力を尽くす必要があります。
       そのためには過去や未来の出来事、また観衆や環境といった
       コントロール不可能な事に意識を向けるのではなく、自分の思考や
       行動といったコントロール可能なことに集中し、「今ここ」の精神で
       目の前のプレーに取り組む必要があるのです。
       心のスキルである集中力は、トレーニングによって維持・向上
       させることができます。
       そのため、日々の練習の中に視線のコントロールや「今ここ」の
       精神を取り組み入れ、習得することが大切です。